8Kモニターは普及するか?
- tokuhata
- 2022年5月20日
- 読了時間: 3分
更新日:2023年11月12日
1.前置き
前回8Kテレビの話題を取り上げ、70インチ程度の一般的なテレビ画面サイズで8Kを生かすには1m以下の至近距離で見る必要があることを述べました。あるいはパブリックビューイングのような巨大な画面で見るか。そうしないと8Kと4Kとの差は人間の目では認識できないので8Kにする意味がないことになります。日本の住宅事情では8Kテレビは現実的ではない、それより32インチ程度のPCモニターを至近距離で見るほうが現実的ではないかというのが前回の結論でした。ということで、今回は8Kモニターの話です。
2.本題:8Kモニター
8Kモニターの価格を調べてみたところ現時点では2社しか見当たりません。32インチでは以下の通りです。
Dell UP3218K-R [31.5型 /8K(7680×4320) /ワイド] 標準価格 ¥498,800 実勢価格45万円前後
Sharp 8M-B32C1 [32型 /8K(7680×4320) /ワイド] 標準価格 ¥1,980,000 実勢価格165万円前後
まず、機能はさておいて価格は現実的ではない(笑)。Dellは比較的安いとはいえ高い。価格差が大きいですがシャープは業務用カラーマネジメントディスプレイとして売り出しており、制作向けに求められる「細かな階調表示」、「正しい色域」、「色ムラや輝度ムラのないユニフォーミティ」、「キャリブレーションなどによる表示品質の維持」、HDR映像などをアピールしています。色調と諧調表現は画像品質を決める重要な要素ですので解像度だけで単純比較はできません。Dellの8Kモニターのインターフェースは、DisplayPort 1.4×2で、8K60pの表示にはビデオカードからDisplayPort 1.4×2に同時に接続する必要があります。ケーブル1本では帯域が足りず2本つなぎます。入力インターフェースはDisplayPort×2のみで、HDMIはありません。一方Sharpの8Kモニターのインターフェースは8K入力の2系統のHDMI入力端子のみ対応します。両社とも10ビットのカラー表示ができるモニターです。その能力を十分に引き出すためにはグラフィックボードが上記の条件を満たす必要があります。これら2社の製品は業務用、ハイアマチュア用の位置づけのようです。すなわち、写真や映像などを忠実に映し出し、高精細コンテンツの緻密な制作・編集作業を支援するための環境、という位置づけです。これらのPCモニターを使用するためのPC環境、特にグラフィックボードはハイスペックが要求され一般ユーザ向けとは言えないかもしれません。ただし、8Kテレビと4Kテレビの差が普通の使用環境(70インチのテレビを2,3メートル離れてみるという意味)では分からないのとは異なり、PCモニターは通常50センチ前後の距離で見るので8Kモニターと4Kモニターの差は実感できます。プロのクリエイター以外の用途では高解像度が要求される特殊用途、例えば医療、セキュリティ、検査システムなどで使われる可能性があります。
とはいえ、8Kテレビが日本に住宅環境では普及しにくいのと同様、8Kモニターも一般家庭での普及は難しそうです。
最後に余談ですが、シャープからは120型8K液晶ディスプレイ「8M-B120C」が発売されておりサイズ以外の仕様は32インチとほぼ同等です。価格は1,450万円とのことです。

8Kモニター:メーカーのホームページから借用
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