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空飛ぶクルマは「クルマ」なのか?

  • tokuhata
  • 9月11日
  • 読了時間: 3分
空飛ぶクルマ
空飛ぶクルマ

 株式会社Soracleは9月10日、大阪での「空飛ぶクルマ」のビジネス化に向け計画を発表しました。大阪・関西万博での取り組みをレガシーとして引き継ぎながら、2027年中の大阪・関西エリアにおける商用運航開始を目指す、としています。(文末のリンク参照)


 空を飛ぶのが「クルマ」といえるのか、という素朴な疑問を抱いたので少し調べてみました。機体は、米国Archer Aviation Inc.が開発する大型・固定翼タイプ“Midnight”がベースになるようです。写真を見る限りヘリコプターまたはドローンと呼ぶべきだろうというのが正直なところです。そこでヘリコプターとドローンの違いを調べてみました。


1.ドローンとヘリコプターの違い

 ドローンとヘリコプターはどちらも空を飛ぶ回転翼機ですが、構造や用途、操作方法などに大きな違いがあります。


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・ドローンは「無人航空機」として国土交通省により定義されており、飛行には許可や申請が必要な場合があります。

・ヘリコプターは人が乗るため、安全性や操縦技術が重視され、免許も必要です。



2.空飛ぶクルマは「クルマ」といえるのか

 「空飛ぶクルマ」は、技術的にはかなりヘリコプターに近いといえそうです。ヘリコプターとの違いを整理してみます。「空飛ぶクルマ」と呼ばれている機体の多くは、eVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing)と呼ばれる新しいタイプの航空機です。以下のような特徴があります:


・電動モーターで飛行(ヘリは通常ガスタービンやピストンエンジン)

・複数のローターを持つマルチコプター型(冗長性が高く、安全性向上)

・自動操縦や遠隔操作が可能(将来的にはパイロット不要)

・静音性が高く、都市部でも運用しやすい

・小型・軽量で、インフラ整備が少なくて済む


つまり、見た目や飛び方はヘリコプターに似ていても、技術的にはドローンの進化形というべきかもしれません。


なぜ「クルマ」と呼ぶのか?

 「空飛ぶクルマ」という名称は、日常的な移動手段としての期待から来るニックネーム的なものだといえそうです。車のように誰でも気軽に乗れて、都市間や都市内をスムーズに移動できる手段を想定している背景に起因するようです。


・「空のタクシー」のようなサービスを想定

・地上の渋滞を回避し、通勤や移動を効率化

・将来的には個人所有も視野に(現状は企業運用が中心)


とはいえ、「クルマ」と呼ぶにはやはり抵抗があります。歴史を見ても「クルマ」は自動車の一般用語として定着した経緯があります。明治時代に西洋から「automobile」が入ってきた際、「自動車」という訳語が作られましたが、口語では「クルマ」の方が親しみやすく、広く使われるようになったという流れです。ちなみに、英語圏では自動車は「automobile」「car」ですが、「vehicle」も一般的です。vehicle は地上を走る車を含みますが意味は広く、ドローンはUAV: Unmanned Aerial Vehicle です。


「空飛ぶクルマ」は、「有人ドローン」や「電動航空機」といった呼び方の方が技術的には正確だと思われます。それはさておいて実施には安全性や法律面での課題も多く今後の展開に注目したいと思います。


ニュースリリース


参考文献



 
 
 

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