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動画の解像度はイメージセンサの画素数だけでは決まらない

  • tokuhata
  • 2023年5月30日
  • 読了時間: 4分

更新日:2023年11月12日



 4K動画の解像度についてまとめました。以下の疑問を抱いたのがきっかけです。


① 4Kモニタで4Kのコンテンツと8Kのコンテンツを見たときに8Kのコンテンツのほうが高解像に見えるのはなぜか。4Kモニタで8Kのコンテンツを表示しても4Kにしかならないので差はわからないように思われるが??


② 解像感の高い動画を撮るにはイメージセンサの画素数が多いほうが良いのか。以下のソニーαシリーズで4K30P動画を撮るとしたら、どれが最も高画質か?


α1: 約5000万画素

α7RV: 約6100万画素

α7Ⅳ: 約3300万画素

α7SⅢ:約1210万画素


これらの疑問を理解するには動画のリサイズ方法を知っておく必要があります。4K動画の表示に必要な画素数は3,840×2,160=8,294,400、すなわち約829万画素です。今どきのデジタルカメラの多くは2,000万画素以上です。したがって、何らかの方法でリサイズすることになります。代表的なリサイズ方法を以下に示します。


注:「画素加算」という表現を日本語の説明で見かけることがありますがメーカーにより異なる意味で使われるケースがあるようです。英語で ”pixel addition” は画素を補完して解像度を上げる方法です。紛らわしいのでここでは使用しません。


(1)ピクセルビニング


図:アップルのHPより引用。2×2ビニングの例


複数の画素を仮想的に1つの画素として扱うことにより理論上、感度をアップする機能です。感度は上がりますが解像度は下がります。



(2)Nearest Neighbor(ニアレスト・ネイバー)

ビデオフレームのリサイズを行う最もシンプルで高速な方法です。元の映像から最も近い画素を選択し、それをリサイズ後のフレームの対応する画素の値として使用します。この方法は計算効率が良い反面、より高度な方法と比較して低品質な結果になる傾向があります。



(3)全画素読み出し(オーバーサンプリング)


図:キヤノンのHPより引用


 全画素数が必要な画素数より大きい場合はオーバーサンプリングとなります。4Kで再生する場合、約800万画素で撮影しておけば映像規格上は十分ですが、あえてイメージセンサーの全画素を読み出して、ソフトウェア的に処理して解像度を下げることで、モアレなどが少ない画像を録画できるとされています。ただオーバーサンプリングを行うためには大きい計算リソースが必要となり、カメラに負荷がかかります。発熱の問題もあります。Bicubic Interpolation, Lanczos Resampling などの方式がオーバーサンプリングされた映像をより低い解像度に効果的にダウンサイジングまたはリサイズするために使用されます。



(4)ドット・バイ・ドット: dot by dot

 撮像センサー上の必要な領域(4Kの場合 約830万画素)をそのドット数(ピクセル数)のまま切り抜き、読み出して動画を生成する方式です。全画素読み出しと比較して複雑な演算がないので処理が軽くなります。イメージセンサの解像度が高い場合は、約830万画素を切り抜く(クロップする)のでレンズの画角が狭くなります。 


人間が感じる解像感の比較は以下のようになると思われます。(4)はクロップされる点で不利です。


(3)>(4)> (1)>(2)



次にソニーαシリーズの比較です。仕様はソニーのHPから引用しました。


α1

AVC HS方式で8K(7680×4320)30pの動画記録が可能。8.6Kオーバーサンプリングによる、リアリティー溢れる圧倒的な解像性能を実現。

画素加算のない全画素読み出し5.8Kオーバーサンプリング(Super 35mm時)による高解像4K動画記録


α7 IV

画素加算のない全画素読み出し4K 60p(*)動画記録を実現

4K動画記録にて、全画素読み出しによる解像感のある高品質な映像を実現しました。また、Super 35mmでは、4K 60p(*)の動画記録が可能になり、動きの速い被写体でも、自然でなめらかな映像を記録できます。さらに、この高解像4K記録に、α7 IVの優れたAF性能、階調・色再現性を組み合わせることで、映像制作のクオリティーを圧倒的に高めます。

* QFHD(3840×2160)時。4K 60p記録は、APS-C/Super 35mm記録モードのみになります


α7RV

画素加算なし6.2Kオーバーサンプリングによる4K記録(*1)

4K動画記録時は、表現や用途に合わせてフルサイズとSuper 35mmから選択できます。フルサイズ選択時は60p(*2)/30p/24pの動画をカメラ内に記録できます。さらに、Super 35mm(APS-Cサイズ相当 16:9)の画面領域では画素加算のない全画素読み出しにより、4K(QFHD:3840x2160)動画に必要な画素数の約2.6倍(*1)の豊富な情報量から4K映像を出力。モアレやジャギーが少なく、ディテールの再現性や解像感に優れています。記録方式は、XAVC Sに加え高画質なXAVC S-I(All Intra)、圧縮効率の高いXAVC HSから選択できます。また、4:2:2 10bitのサンプリングにも対応しています。

*1 Super 35mm、30pまたは24p撮影時


α7SⅢ

フルサイズ領域で、画素加算のない全画素読み出しによる4K(QFHD:3840×2160)動画の本体内記録に対応。フルサイズならではの表現力はそのままに、全画素情報を間引きや画素加算なく読み出して使用するため、モアレやジャギーを抑えた、より解像感の高い4K映像を実現。圧倒的な高感度・低ノイズ性能、広いダイナミックレンジと合わせて、夜景などさまざまなシーンで高画質な4K動画を記録できます。


いずれも全画素読み出しオーバーサンプリングですので解像感に関する比較は難しいですが高感度特性、4K120Pを考慮すると個人的にはα7SⅢがよさそうに思えます。総合的にはα1が優れていますがあくまで4K動画という観点です。また、α7SⅢ以外は記録フォーマットによりクロップ有無が細かく変わるので要注意です。実際の画像で比較して検証したいところですが私が所有しているのは7SⅢのみですので実機での比較はできません。結論は不明です。



 
 
 

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