AI画像の著作権問題
- tokuhata
- 2023年6月26日
- 読了時間: 3分
更新日:2023年11月12日

Bing Image Creatorにより生成
画像生成AIが生成した画像の著作権
最近いろいろなジャンルで生成AIが話題になっています。応用テクニックに関する話題が多いですが、AIの問題点に関する議論も活発になっています。その一つが著作権問題です。AIが生成した画像の著作権に関しては、現在の日本の法律では明確なルールが定められていません。しかし、一般的には、AI生成物が著作物として認められるためには、人間の創作的な関与が必要であると考えられています。著作権法によれば、著作物は以下の様に定義されています。
著作物 =「思想又は感情を創作的に表現したものであつて,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」
このことを踏まえてAI生成物について考えてみます。AI生成物には、以下の2つのパターンが考えられます。
①人間がAIを道具として用いて創作した画像
②AI自体が創作した画像
前者の場合は、人間が思想や感情を創作的に表現したものとみなすことができるため、著作物にあたり、著作権が発生すると考えられます。著作権は、AI生成物を創作した人間に帰属します。後者の場合は、人間の創作的な関与が認められないため、著作物にはあたらず、著作権は発生しません。AI自体は意思を持たない(したがって思想・感情も持たない)とされているのでAI自体が自発的に創作するとは考えにくいですが、法律の専門家はこのように分類しています。後者の場合でも、きっかけは人によるAIへの指示が必要ですが、ここでいう「人の関与」はAIに指示を出すという程度であり、その場合「思想または感情」が存在しないので、原則として著作権が発生しないと解されています。
個人的には②のレベル、すなわち「人の思想や感情」が含まれない程度の指示は考えにくいと感じます。生成AIを使用する多くのケースではAIが自動生成する画像の再現性を高めることを目的として、人間が作成した「プロンプト」と呼ばれるテキストコマンドを入力します。プロンプトはAIを道具として使用するための手段であり、したがって①に該当すると考えられます。ごく短いプロンプトには創作性が認められないかもしれませんが、多くのケースではユーザが期待通りの画像を生成するべく数行以上に及ぶプロンプトを入力します。プロンプトの質が生成物の質を左右するので著作権が認められる可能性が十分あると考えられます。
画像生成AIが学習に使用したデータに関する著作権
AIが学習データとして使用した画像に関する著作権が問題になるケースもあります。画像生成AIは、大量のデータセットを使用して学習を行いますが、そのデータセットは著作権の保護を受けている可能性があります。AIの学習に使用されるデータが他人の著作物である場合、著作権所有者の同意が必要となります。データセットの作成者がライセンスを提供していた場合でも、そのライセンスがAIによる学習に対しても適用されるのか、それとも新たな使用形態に対しては別途のライセンスが必要となるのかが問題となります。AIの学習に使用されたデータが、元の著作物とは異なる目的や形態で利用される場合、著作権の適用範囲が問題となります。
このように、AI生成物の著作権に関しては法整備が追い付いていない一面があり、今後新たなルールが整備されていくと思われるので動向に注意したいと思います。
参考情報:
弁護士に聞く、AIが生成した画像の著作権問題とそのポイント
AI生成物に著作権は認められる?2つのパターンに分けて解説
著作権法の一部を改正する法律(平成30年法律第30号)について
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