AI時代は写真家受難の時代か
- tokuhata
- 2023年12月17日
- 読了時間: 3分
画像生成AIが一気に広まったのは昨年2022年7月頃からでした。私自身もMidjourneyとStable Diffusionを試してみて、広告写真、イラスト、その他商業デザインなどには十分使えそうなレベルだと思いました。写真としてのリアリティは高くないというのが当時の印象でしたが、その後、急速に品質が上がり、今では本物の写真と区別が難しい画像が生成できるようになりました。偽の画像を作るのにも使われることがあり問題になっています。写真家にとっては便利な反面、やっかいな世の中になったとも言えそうです。写真家の仕事がAIに侵食されるという懸念もありますが、別の心配として、めずらしいタイミングをとらえた写真などが本物の写真であるにもかかわらず合成を疑われるおそれがあるからです。
生成AIが話題になるずっと前のことですが私自身、合成を疑われたことがあります。それぞれ別の写真展で使用した2枚の写真を添付します。合成ではなく本物ですので念のため。天文データと位置情報からこの時間にここへ行けばこういう写真が撮れるはずだと事前に計算した上で出かけて行って撮影したものです。にもかかわらずそれぞれ別の人から合成を疑うコメントがありました。どうも嘘っぽく見えたようです。
撮影データを載せますので興味のある方はステラナビゲータ、カシミールなどでシミュレーションしてみてください。再現できるはずです。

写真① 月と木星のランデブー

写真② パール富士
撮影データ:
① 月と木星のランデブー:見かけ上の接近です。実際には7億キロ離れています。満月のように見える部分は地球照です。木星近くにはガリレオ衛星も写っています。撮影場所:朝霧高原もちや付近、撮影日時:2015年10月10日4:26AM、レンズ400㎜
② パール富士:月が山の後ろにあるのになぜ山が明るいのだ・・・というコメントをいただきました。露出がアンダー気味なので夜だと思われたようですが日没間際でまだ昼間のように明るいです。満月ではなく13夜です。 撮影場所:田貫湖付近、撮影日時:2016年2月21日17:33PM、レンズ200㎜
合成ではないかという疑問をストレートに口に出して質問されるのはいい方かもしれません。「面白い写真だがどうせ合成だろう…」と思いながら立ち去った方がいても不思議ではありません。おそらく少なからずそういう方がいそうな気がします。そう考えると展示の方法も再考の余地がありそうです。
AIに話を戻し、生成AIによる画像は今後広く普及するでしょうから、今後は画像の真正性が問われ、それをどうやって示すかが重要な課題になりそうです。別記事で解説した「コンテンツ認証情報:Content Credentials」はそのひとつです。真正性を追求していくと、さらにNRT、ブロックチェーンなど技術的にハードルの高い機能に関わる必要が出てきます。その話はまた別の機会に整理したいと思います。
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