コンテンツ認証情報:(content credentials)とは
- tokuhata
- 2023年11月12日
- 読了時間: 4分

図1:サンプル画像
Adobe Photoshop のコンテンツ認証情報を使ってみました(content credentials)。昨今何かと話題の多い生成AIによる偽画像対策の一つになる可能性があります。コンテンツ認証情報とは、コンテンツを書き出しまたはダウンロードする際に、コンテンツに追加する付加情報です。改ざん防止メタデータといってもよいでしょう。コンテンツが編集または処理の様々な段階を経ると、複数のコンテンツ認証情報が蓄積されます。
コンテンツ認証情報の例(アドビの説明より):
作成者:アドビアカウントに記載されている名前
次を使用して作成:最終的な画像を作成するために使用したアプリケーションまたはデバイス
編集内容とアクティビティ:最終的な画像を作成するために実行した編集および処理アクション
アセット:最終的な画像を作成するために使用したその他のコンテンツ
署名者:有効な方法でコンテンツ認証情報を発行し、情報を記録する組織
重要な特徴としては、写真の帰属先やどのような編集・加工が加えられたのかを暗号化し、メタデータとして画像データに埋め込まれます。そして、付加されたメタデータの改ざんはできないようになっているということです。コンテンツ認証情報を使用すると、作成者は、コンテンツを書き出しまたはダウンロードする際に、コンテンツに情報を追加できます。
コンテンツ認証情報の追加は、Photoshop上で可能です。具体的な手順は下記サイトに紹介されています。編集に先立ってコンテンツ認証情報を有効にすることにより、以降の編集処理の内容が履歴としてコンテンツ認証情報に蓄積されます。編集終了時に書き出し処理によりコンテンツ認証情報の追加が完了します。
実際に筆者が試してみた結果をスクリーンショットとともに示します。元の画像は筆者が撮影した写真です。この写真をもとに空の置換を行いました。編集に先立ってコンテンツ認証情報を有効にし、さらにプレビュー画面を表示しておけば編集の過程で追加されていくコンテンツ認証情報を見ることができます。(図2)

図2:コンテンツ認証情報を有効化
追加されたコンテンツ認証情報を確認するには認証サイトにアクセスする必要があります。それが下記のサイトです。ベリファイ機能のページに画像をアップロードすると追加されたコンテンツ認証情報が表示されます。編集した画像をアップロードして表示された結果を図3に示します。2つの画像を合成したことが分かります。
Content Authenticity Initiative

図3:コンテンツ認証情報を確認
考察
概ね直感的な操作で可能であり、Photoshopを扱いなれていれば操作自体は問題なくできそうです。ベータ版とのことですが今後記録できる履歴など整備されていくと思われます。現時点ではコンテンツ認証情報を画像に埋め込むという習慣が普及していないので今後の展開次第ですが、素性の保証された画像には認証情報が付加されているのが当たり前という流れになればコンテンツを扱う人々の認識も変化していきそうです。現時点で感じた課題を以下に示します。
(1)法的な拘束はないので認証情報を付加するかしないかはユーザ次第である。したがって、言えることは、コンテンツ認証情報が付加されている画像は素性がはっきりしている。コンテンツ情報が付加されていない画像は素性がはっきりしない、ということです。
(2)オリジナル画像ではなくどこかから拾ってきた画像でも認証情報の付加が可能である。図3のコンテンツ認証情報を見るとわかりますが、元画像には「コンテンツ認証情報なし」と表示されています。自分の画像ですが使用したカメラにこの機能がないからです。
(3)画像が最初に生成された時点からコンテンツ認証情報を埋め込むにはカメラ本体にその機能が必要です。執筆時点でこの機能を有するカメラはライカの M11-Pのみです。
撮影した画像にメタデータを添付するようになっています。これにより、写真が撮影された時点でカメラのメーカーやモデル等の情報に加え、誰が、いつ、どのように撮影したかなど、コンテンツ固有の情報(クレデンシャル)が暗号署名とともに記録されます。カメラ本体:¥1,474,000 (税込)、いかがでしょうか? 私にはちょっとハードルが高いです。
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