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生成AIによる写真の転換期

  • tokuhata
  • 2023年6月18日
  • 読了時間: 4分

更新日:2023年11月12日


AIによる写真の再現性と創造性のジレンマ

 人工知能(AI)の進歩は、私たちの生活のあらゆる領域に大きな影響を与えています。画像生成AIは写真撮影という芸術にも大きな変化をもたらしています。以前は写真家がシャッターボタンを押して瞬間を捉えることが主流でしたが、今ではAIが写真を生成し、写真家の役割は大きく変わりつつあるように感じます。

 生成AIは、膨大な量のデータから学習し、それに基づいて新しい画像を生成することができます。この能力は写真の生産性を高める一方で、写真の創造性に対するジレンマをもたらします。AIによって生成された写真は、人間の感性や経験に基づいた独自の視点や感情を持たないからです。写真が純粋に技術的なアウトプットとなり、感情的な共感を伴わなくなることは、写真芸術の本質を変えるかもしれません。


倫理的な課題

 AIによる写真生成の普及は、倫理的な問題を引き起こす可能性があります。生成AIが人間の顔や個人情報を含む写真を簡単に作り出せるようになれば、プライバシーの侵害やフェイクニュースの拡散といったリスクが高まるでしょう。また、AIによって作成された写真の著作権や所有権の問題も生じるかもしれません。一部のAI製品はネット上にある膨大な画像データを学習していることから生成物が著作権を侵害しているのではないかという指摘があります。このような倫理的な問題を解決するためには、今後適切な法整備やガイドラインが必要になると思われます。


写真の新たな可能性とAIとの共存

 一方で、AIによる写真生成は新たな表現の可能性をもたらすこともあります。生成AIは、人間が想像し得なかったような芸術作品を生み出す可能性があります。また、AIを活用することで写真家はより創造的な表現を追求することができるかもしれません。AIのアルゴリズムを利用することで、写真家は写真に独自のスタイルや効果を加えることができます。さらに、写真の修復や改善するAIベースの編集ツールがすでに多数あります。


写真の本質と価値の再評価

 AIによる写真生成が進むにつれて、写真の本質とその価値について再評価する必要が生じると思われます。写真は単なるイメージの再現物ではなく、撮影者の視点や感情、瞬間の魂を反映するものであると考えられてきました。写真がAIによって容易に生成される時代において、写真の真の価値は何か、写真芸術はどのように変わっていくのかを考える必要があります。これからの時代の写真家は、AIと共存しながら写真の本質を再評価し、新たな表現の道を探求していくことが求められるでしょう。写真が写真ではなくなる時代においても、人間の感性や創造性が写真芸術の根底にあることを忘れずに進んでいくことが重要です。


AI画像であることを表示すべきか

 AIが生成した画像をどう扱うかは今後、継続課題になりそうです。コラージュなどで一見して合成であることが分かる内容であれば特に表示は必要ないと思います。ただし、自然風景などではAI適用の程度により扱いが難しそうです。オリジナルのままなのか、適度のレタッチを加えているのか、大胆に編集を行っているのか、あるいは完全な合成画像なのか、程度と目的により扱いが変わりそうです。例えば、多くの写真コンテストでは合成写真は対象外ですが、これだけ合成が容易になると悪用する人は出てくる可能性が高いと思われます。どの程度までなら許容範囲なのかの線引きも難しそうです。今後はRAWデータの提出を義務付けるなどの対策が必要になりそうです。


最後にいくつかの適用例を示します。AI処理の適用有無に関する識別が困難な例から明らかに合成であることが分かる例までを示します。




空の置き換え (Sky Replacement):木の隙間まできれいに置き換えているので合成を識別することは困難に思えます。





対象の置き換え:太陽を置き換えて日食風にしました。やや不自然なので合成であることが分かります。




背景の置き換え:コラージュであり、合成は明らかです。




テキストから生成:Image Creator で作成、合成は明らかです。




 
 
 

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