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NikonはREDの圧縮RAW特許侵害告訴に徹底抗戦

  • tokuhata
  • 2022年9月13日
  • 読了時間: 2分

更新日:2023年11月12日

 ニコンは9月6日付でRED.COM, Inc.の特許侵害を否定し訴訟で争う旨を回答しました。この内容を見る限りニコンは徹底抗戦の構えです。ニコンのとりうる選択肢としては、①ロイヤリティを払う、②Z9から当該機能を削除する、③法廷で争う、の3通りが考えられますが最後の選択肢を取ったことになります。




 ことの発端は3か月前にさかのぼります。Nikon Z9のRAWファイル記録技術が自社の特許を侵害しているという内容でREDがニコンを提訴しました。(対象特許グループ①: US7830967, US8174560, US9245314, US9436976)(対象特許グループ②:US9521384, US9716866, US10582168)


対象になったのは12ビットN-RAWとProRes RAW を内部記録できる機能です。




 REDが特許侵害で他社を訴えるのは今回が初めてではありません。2013年にはソニーに対して類似の訴訟を起こしています。このときはREDが勝っています。(対象特許:US8174560 BB, US8358357 BB)


 関連して、Apple社はREDの圧縮RAWは特許性が無いのではとの異議申し立てを行っていましたが20919年米国特許庁は、証拠不十分のため異議申し立ては無効であるとの裁定をくだしました(対象特許:US9245314 BB)。


 特許データベースを調べたところ、これらの特許は2つのファミリーです(Family number 42395460:US7830967, US8174560, US9245314, US9436976, US8358357)(Family number 57180300:US9521384, US9716866, US10582168)。ファミリに共通する要素技術を以下に示します。要点:ベイヤー配列されたイメージセンサのRAWデータを視覚的にロスのない方法で圧縮・再構成する。すなわち、青と赤の画像データを圧縮性の高い方法で圧縮し、デモザイクされた場合には視覚的にロスのないオリジナルデータを得ることができる。さらに、緑のデータを最初にデモザイクし、その後、赤色および青色の要素をデモザイクされた緑色の画像要素の値に基づいて再構成する方法で、データを処理することもできる。


 ポイントは「RAWデータをロスレス圧縮する」という、いわば盲点ともいえるアイデアです。ただし、数学的に可逆的ではなく、視覚的に画質劣化を感じさせない程度に情報を間引いているようです。過去にソニー、アップルが敗訴していることを考えるとニコンに勝算があるのかどうか疑問ではありますが5月のRED告訴からニコン徹底抗戦表明まで4か月近く経過していることを考えるとニコンは十分検討した結果でしょうから何らかの考えがあるのでしょう。今後の展開に注目したいと思います。


 
 
 

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