Nikon 対RED 特許訴訟問題続報(3)
- tokuhata
- 2023年3月18日
- 読了時間: 2分
更新日:2023年11月12日
少し時間が経ちましたがニコンZ9に関する特許問題続報です。裁判所は陪審員裁判を2024年1月に設定しました。上記の引用記事によれば主な日程は以下の通りです。
技術チュートリアルヒアリング-2023年4月、
マークマンヒアリング(証拠調べ)-5月、
答弁書修正/当事者追加動議の最終審理日-2023年5月、
非専門家向けディスカバリーカットオフ-2023年8月、
専門家向けディスカバリーカットオフ-2023年10月、
調停最終日-2023年12月、
最終予備会議とMILヒアリング-2024年1月、
陪審裁判-2024年1月23日。

裁判には時間がかかるのが常なので意外に早い(?)ともいえます。少なくともそれまではZ9 ユーザはN-RAW and ProRes RAWを使い続けることができそうです。ちなみに問題の特許は2つのファミリに属する複数の特許です(対象特許グループ①: US7830967, US8174560, US9245314, US9436976)(対象特許グループ②:US9521384, US9716866, US10582168)。出願の比較的新しいものもありますが優先権の関係で主な特許は2028年には権利が消滅するようです。そう考えると裁判にあまり時間はかけられないはずです。
圧縮RAWに関するこれらの特許に関しては過去にソニー、アップルが敗訴しています。この訴訟問題に関する以前の解説で述べましたが今回のニコンの反訴はソニー、アップルとは事情が異なります。すなわち、新規性喪失の例外(今回は米国が舞台ですが米国ではグレースピリオドと呼ばれ、猶予期間は1年間)の期間を考慮してもREDの出願は遅すぎたので新規性を喪失しているというのがニコンの主張です。ソニー、アップルとは論点が異なるのでどのような結果が出るか興味深いところです。ニコンが敗訴すればロイヤリティを払わざるを得ないと予想されます(Z9はすでに市場に出回っているので当該機能を削除することは困難)。逆にニコンが勝訴しこれらの特許が無効になればいままでロイヤリティを払ってきた他のメーカーの扱いはどうなるのか。こちらのケースのほうがより興味深いです。
そしてもう一つ気になる情報として、REDは関連する別の特許が最近許可されたようです。
"Video Image Data Processing In Electronic Devices" というタイトルですがこの特許の有効期間は2037年とのことです。これについては別の機会に調べてみたいと思います。 □
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